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A mobo wears Italian classics. & loves moga.

今夜は買い物ついでに、父のジャケットを見立てに行きました。

ふと思い出したのが、95歳でお亡くなりになったNさんのこと。
(生きていれば105歳くらいだと思います。)



私がこの業界に入ったときからのお客さんで、
若い頃は銀座で紳士服の仕立て屋さんをしていたというNさん。

場所柄、上得意のお客さんが多く、
引退してからも直接
「見立て&仕立てを頼まれる。」ことがあって
「断るのに大変」だったとか。(^-^)



90を過ぎて尚、腰も曲がらず、背筋は伸びたまま。
これは、仕事柄正座をして仕事をしてたからだそうで、

「いまでも正座が一番楽な姿勢なんだ。」

とおっしゃってました。


着るもの全てお手製で、
いつもいい生地のシャツ、ジャケットとパンツ。
冬になれば、
ハットとコート、それに手袋とマフラー。

本人曰く、

「下着と靴下以外は、全て自分で縫った。」


そう、
その生地全てがイタリア製。

「生地はイタリアが一番だ。」が口癖。



Nさんの生前、一度だけ奥様を見たことがありましたが、
小柄で可愛い、少し腰が曲がったおばあちゃんでした。


「(年齢は一回り下で、)大空襲の時は、
 ばあさんと手をつないで上野まで逃げ回ったんだよ。」



いつぞや

「昔の写真ありますか?良かったら見せてください。」とお願いしたことがあり
次の来店時に見せてもらったら、

まるで”ゴッドファーザー”に出てくるような
真ん中で分けた髪にビッチリとポマードが決まったスタイル。

それは真っ白なスーツにセピア色の写真。
時代は大正から昭和に移り行く頃。


当時”MOBO=modern boy”と呼ばれたのがこれだったんですね~


亡くなる1年くらい前には、かなり弱ってきたのが分かりました。
そして、
ある日こう言われました。


「お兄ちゃん、俺の服をもらってくれるかな?」


お歳のわりには背が高かったNさんですが、
それでも私とは10cmは違います。
(私は181cm、それに当時は今より10kg以上痩せてました。)


Nさんのジャケットに袖を通してみると、
サイズはOK,でも、袖が短い....(-,-)


「これって、袖出せますか?」
「いや、それだけは無理だな...」


Nさんにジャストサイズなので、こればかりは合いません。


「残念だけど、でも良い仕立てなんだよ。」


そりゃそうです。
だって、30年も40年も着ていられる服なんてそうはありませんから。


その後も杖をつきながらご来店いただきましたが、
最後に来店してから2ヶ月くらいして、
Nさんの奥様~可愛いおばあちゃんがいらっしゃって

「先日眠るように亡くなりました。」

と知らせに来ていただきました。


Nさんが自慢げに言っていたことを思い出します。


「俺が外に出るのは、タバコを買いに行く時と、ここに来る時だけなんだぞ~」


今思えば、マフラーだけでもいただいておけば良かったな...と。
(^-^)/every mobo loves a moga.
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